2012年12月26日

任期付き助教の転職〜ポスドク・オーバードクター問題

僕は任期付きの私大助教から民間企業(研究開発)へ転職しました。

いわゆるオーバードクター問題とかポスドク問題、高学歴ワーキングプア問題といった問題の対象になるべき人間です。

なので偉そうなことは言えません。

結論から言えば、これは博士課程進学者やポスドク、任期付きポスト(助教や講師など)の人達の自己責任であることは否定しません。

僕も、自分が任期無しのアカデミックポストにつけなかったのは自分の責任だと思い、こうして民間に転職を決めたのですから。

ただ、僕の場合はもうだいぶ前からこの世界でやっていくのが嫌になっていたので、こうやって多少なりにも自分の研究テーマに関連した業務内容の民間企業に転職出来たのは、そのままアカデミックの世界にとどまるよりも、ある意味成功だったのかもしれません。

それでも、僕は当事者の一人としてこの問題に言及せずにはいられないのです。

それは、

@たいして研究能力が無くても博士の学位をあげてしまう研究室が多い
Aたいして業績も無い修士や博士の学生が、研究室のボスの力で学振DC、PDに当たってしまうことがある
Bたいして業績が無いのにコネで任期付きポストやポスドクになれてしまうことがある
C能力もコネも無くてもポスドク募集が乱立しているので数打ちゃ当たるで応募すればどこかに拾ってもらえることがある
Dたいして研究業績が無くても研究室のボスの力やプロジェクト参加により科研費が取れてしまうことがある
E任期付きポストやポスドクでありながら非常に高額な給料が支払われている

などです。

このうちDに関しては、科研費をバンバン取っている研究室に博士課程から移籍すればPDも当たるし、卒業後も科研費をとりやすかったり、科研費採択期間中に一本も論文を書かなくても次期プロジェクトが立ち上がれば自動的に次のプロジェクトにも参加できることもあります。

また現在はあまり行われていませんが、研究室の博士課程の学生を助手にしたり、他大学の助手に着任させて、博士の学位を時間をかけて習得させるようなこともあります。

これらの問題点は、本人が「自分には実力がある」とか「今は任期付きだけど科研費も取っているし、それなりのポストにも就いているから何とかなる」とか「将来のポストもボスが何とかしてくれる」と思ってしまう所です。

また、給料も高額であることが多いことが当然のように思ってしまうのも問題です。
基本的に研究者は裁量労働制であるため、中には休日も研究、平日も夜遅くまで研究している人もいらっしゃると思います。
それでも、上記の@〜Dのような研究者が高額の給料をもらうのはどう考えてもおかしい。
裁量労働制にするなら、なんかしらの貢献度でもって減給/昇給するべきなのにそれが無い。
ようは一度ポストについてしまえばどんなに研究への貢献度が少なくても高額の給料が支払われるわけです。

もちろん中にはポスドクや任期付きポストでありながら立派な業績(質の高い研究、IFの高い論文投稿など)を積み続ける人もいます。

ただ、自分の知っている限りでは、そのように立派な業績を残している人でも何年もポスドクをしている方が非常に多いです。

つまり、しっかりと一人ひとりの研究能力を評価するシステムが無く、安易に学位やポスト、科研費を与えてしまう。科研費など採択後に年度ごとに成果報告書を提出するのだが、発表論文がゼロでも全くお咎めが無いし、論文内容について質を評価することもない。例えば所属機関で作っている紀要論文でOKだったりする。それなのに次年度の科研費が連続して当たったりする。

本当に不透明な世界なのだ。

色々とダラダラ書いてしまったが、結局何を言いたいのかと言うと、

「研究能力の低い人が自分は大丈夫だと勘違いしやすい」と言うことです。

もちろん、研究者が自分を客観的に評価できれば問題ありません。
「たいして論文も書いていないのに科研費が当たった。これはボスのおかげで自分の実力じゃない」とか「自分はボスのコネで今のポストにつけたけど、それは自分に業績があったからじゃない」とか、しっかり認識できていれば問題ない。

そういう意識があれば、ある程度の年齢(例えば35歳転職限界説)までに転職するなりして次の道を探す準備を早めに始められるはずなのだ。

ただ、昨今のポスドク問題、オーバードクター問題、高学歴ワーキングプア問題は、安易に研究者の道を与えられた研究者たちの勘違いによるところが大きいと思うのだ。

僕はアカデミックポストの任期制には大賛成です。

でも、任期制をこれからどんどん進めて行くのであれば、研究評価等の土台作りをしっかりしてからにするべきだったのではないかと思ってしまうのです。

現在、博士課程の学生さんやポスドク、任期付きのポストの方でこの駄文を最後まで呼んで下さった方へ。

「俺はお前のような底辺とは違う。実力主義なのは重々承知だ」と思っている人も多いと思います。

そんな人には是非、次のポスドクメモを読んで、もう一度自分を見つめ直してほしいです。
こんな僕でも、かつてはあなた方と同じように考えていたのですから。。。

大阪大学大学院理学研究科小川哲生研究室HPより
ポスドクへのメモ

また博士課程の学生、および博士課程に進学予定の学生には合わせて次のアドミッションポリシーも読んでほしいです。

小川研究室のアドミッションポリシー

ちなみに僕は小川先生とは全く面識もなければ研究分野も全く違います。
関係者の方々に何の了承も得ずに記事の紹介をしてしまい、大変恐縮です。

ですが、是非色々な人に読んでほしいと思います。





posted by ノルマン at 22:46| Comment(2) | ポスドク・オーバードクター問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

任期付き助教の転職〜助教時代

僕は博士課程修了後、出身ラボのボスの紹介で地方私大に助手として着任し現在に至ります。(途中、大学制度の変化により立場は助教になりました。)

僕の大学はいわゆるFラン大学で、文系理系問わず学生は大卒の資格が欲しいだけで、大学に遊びに来ているだけの人がほとんどです。

学部の教員の構成は教授が最も人数が多く、准教授、講師が最も人数が少なく、助教・助手がそれなりにいる、感じです。

そして、助教は任期無しの人と任期付きの人がいて、任期無しの助教のほとんどがいわゆる万年助教です。
助教制度導入時に任期付きの助教は助手時代よりも年収が200万近く下がりましたが、任期無し助教は任期ありの助教より担当講義が年2つ多いだけで業務内容は全く変わりません。

それでも、年に講義は2つしか担当せず、他に学生実験や卒業研究を指導する程度で年収400万ぐらいもらえるので、世間から見たら楽な仕事です。(任期無しの助教なんて担当講義が2つ増えただけで年収600万もらえるのだから、ふざけてますよね)。

まあ、年収の話はさておき、こんなFラン大学の教員がどれだけ研究をやっているかお話します。

まず、他人のことを言う前に自分のことを最初に言わないとですよね。

僕ははっきり言って負け犬研究者です。なので業績もかなり少ないです。

まず論文ですが、年に2報はコンスタントに書きました。
僕の研究テーマはシミュレーションだったのですが、所属していたのが実験系の研究室だったので計算するためのコンピューター環境が整わず、結果が出るのに数ヶ月かかってしまうのが悩みでした。

それ以外にラボの前助手(現地方国立大准教授)のテーマを引き継いで実験結果のデータ解析法の開発も行うため、実験も行いました。

ただその研究を続けることは辞めました。それは、

・ラボの前助手が考案したデータ解析法がどう考えてもインチキだったこと
・解析用プログラムもバグだらけだったこと
・前助手はそんな間違いだらけのデータで論文を重投稿しまくっているのに分野の研究者たちはそのことに気がつかない(または気づいても目をつぶっている)

など、このテーマで論文を書くことは、自分の実績に泥を塗ることになると判断したからです。

ただ、有難いことに前助手は論文を書くと共著者に僕の名前も入れてくれたので業績だけは増えました笑

他に、前ラボの教授(学生時代の指導教官)も論文を書くと僕を共著者に入れてくれたので大変ありがたかったです。

そんなわけで、外見上業績だけは普通にありました。

でも、実際は年2報程度しか論文を書いていなかったので、任期無しのアカデミックのポストに就くのはほぼ不可能な業績でした。

では、僕以外の教員の実績はどうだったのでしょうか?

まず、教授陣です。

僕のラボの教授は研究も論文も学生指導も一切やらない人でしたので、もちろん僕のいた7年間で論文数はゼロです。というか、この教授、僕が調べた限りでは生涯実績でもファーストの論文は10報もないのではないでしょうか?(この教授のことに関しては別記事でいずれ述べたいと思います)

他の研究室の教授も自分がファーストの論文をコンスタントに書いている人はほとんどいません。
ただ、学科に2人ほど業績の素晴らしい教授の先生がいらっしゃいました。
もちろん、毎年論文をコンスタントに書いているし、様々な賞を受賞されていました。

大学の教員は外部資金を獲得することが義務なわけですが、この2人がいなかったらうちの学科の予算獲得は相当困難だったと思います。
当然数少ない優秀な学生はそういう教授の研究室に集まりますから、他研究室にはその残りかすのような低レベルな学生しかきません。
うちの研究室はその最たるもので、中にはうちの研究室に所属が決まると泣いて嫌がった学生もいたそうです笑

准教授や講師も似たようなもので、コンスタントに論文を書いている人はほとんどいません。

助教はさすがにそこまでていたらくでは無かったですが、それでもコンスタントに論文を書いている助教は少なかったです。

万年助教はもちろんほとんど論文なんて書いてません。中にはもう10年近くファーストの論文を書いていない助教もいれば、業績の所に恥ずかしげもなく「国内学会発表」をズラズラ書いている人もいました笑

任期付き助教はさすがに皆さんコンスタントに論文を書いていましたが、それでも年に1〜2報の人が多かったです。

と言った感じで、うちの大学は本当に酷い有様でした。僕も含めて笑

ちなみに僕以外の助教で大体僕と同時期に着任した人達のその後ですが、任期無しポストへ着けた人はいません。

大抵は同じく任期付きの助教や講師、民間へ転職しています。

ただ、不思議なのは、その中には科研費を獲得している人も割といたということです。
科研費を獲得できるぐらいの研究能力があったのに、任期無しのポストには誰もつけなかったのです。
科研費の話しも別記事でしたいのですが、おそらく科研費を獲得したことはもはや業績としては当たり前、もしくは意味がないのかもしれませんね。

というか、科研費獲得の基準自体が曖昧で、論文を一報も書かなくても獲得できるし、成果報告に発表論文が皆無でもOKなんですから酷い話です。

仕事内容に見合わない高額な給料が支払われ、プロジェクトによっては大した業績が無くても科研費が獲得できてしまったら、そりゃ強気にもなります。

これまで、オーバードクター問題、ポスドク問題等、色々叫ばれており、大抵は文科省の大学院政策に問題があった、と文科省の責任にされがちですが、僕はそうは思いません。

アカデミックポストへの業務に見合わない高額な報酬の支払い、業績や実績が無い研究者に科研費を出してしまう基準のあいまいさ、そして研究成果が出なくても科研費を返還しなくてもいい制度の甘さ、など、研究者のぬるま湯体制に問題があると思います。こんなぬるま湯環境に浸かっていたら、そりゃみんな自分は大丈夫だと勘違いしますよね汗

その点、早めに見切りをつけられて僕は運が良かったです。

というのは、現ラボの研究分野は国内では企業の研究者の割合が非常に大きく、逆に大学関係の研究者は数えるぐらいしかおらず、企業の研究者との接点が多かったことがアカデミックの世界の甘さを気づかせてくれた最大の理由でもあります。

よく、「企業は利益優先で、役に立たない基礎研究にお金はかけない。基礎研究を行うのは大学研究の役割だ」と言われます。

でも、それは間違いです。何故企業の研究者はこのことに異を唱えないのか不思議です。

企業こそ、基礎研究を大事にし、その上で実用的な技術開発を行っているのです。

もちろん詳細は企業秘密なので明かされることはありません。
でも、企業の研究者とディスカッションしていると、基礎研究もしっかり行っていることが分かるのです。

むしろ、基礎をないがしろにして目先の成果に飛びついているのは大学の研究者の方です。
企業は企業で基礎研究をしっかり行い自分たちの技術でできる研究は全て行っています。
大学の研究者が入る余地なんてないぐらい自分たちの技術を深く追求しています。
そして、企業の研究者の方々はもっとグローバルに物事を考えており、世界との競争を意識し、危機感を持って研究を行っているのです。
このような意識を大学の研究者が持っているでしょうか?

「大学研究は、焦らずじっくり一つのテーマに集中できるのが良い。そこにそんな競争原理を持ち込んだら大学研究が崩壊する」

と言う人もいます。そういう人に限って現在の任期制ポストやポスドク問題を非難し、その原因を文科省のせいにします。

だったら、もっと優秀な人材のみをアカデミックの世界に進ませる仕組みを作ったり、科研費採択の基準を明確化かつ厳密化し、任期制を導入するなら業績や研究能力に見合った報酬や更新を行うべきなのです。

そうすれば僕達のような無能な研究者は生まれないし、ドロップアウトする人数ももっと減らせるはずなのです。

まあ、そんなことを言っている自分も他人任せなわけですが笑

posted by ノルマン at 16:06| Comment(2) | 任期付き助教時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月22日

ポスドクや任期付き助教の転職について

前回の記事では少し下品なことを書いてしまいましたが、そういうことも包み隠さず書いて行きますよ笑

さて、今回は実際に僕が行った転職活動について少し具体的に書きたいと思います。

ポスドクや任期付き助教が転職する際、大抵の人は転職サイトを参考にすると思います。

博士・研究者向けの求人サイト(例えばJREC-INなど)はもちろん、一般職の転職サイトも参考にするかもしれません。

他には転職エージェントといって、転職希望者の希望や職歴にマッチした企業を見つけてきてくれて、直接先方の人事に掛け合い採用の可能性を探ってくれる業者がいます。

書類の書き方や面接の仕方などもアドバイスしてくれるそうです。

しかも成果報酬型なので、転職が成功した時に報酬を支払うシステムなのだとか。
実際にそれを利用して民間に転職できた人も多いそうです。

僕もアカデミックポストはJREC-IN等の研究職用の求人サイトで、自分の研究分野とマッチしている職へは全部応募しました。

結果は自己紹介で書いたように書類選考で全滅です笑

JREC-INなどで紹介されているポストは、相当倍率が高いらしいです。
特に任期無しの常勤ポストは相当倍率が高いとか。

例えば、うちの大学は私立大学ですが、教授の話によると准教授の公募に100名以上の応募があったそうです。
そして、その応募者の業績数はどれも甲乙つけがたいぐらい素晴らしいのだとか。

任期付き助教の募集でも、同じぐらいの数が来るそうです。

教授が言うには、そうやってたくさんの応募があると業績数で絞り込むしかないのだとか。
「あなたの業績数では、よっぽど巡り合わせが良くないと難しいだろうね」
と教授にも言われたし、自分でも無理だと思っていました。

ちなみに、自分が博士卒業後すぐに今の任期付き助手/助教に着任できたのは、ぶっちゃけコネでした。

つまり、たくさんの業績数があるかコネでもない限り、アカデミックポストを得ることは難しいと思います。
他には企業から転身してくるような変わり種(?)とか。

しかも、一つのポストに100名ぐらい応募があって、みんな業績数に大差がない、となるとコネなしのガチ公募だとしても最終的には業績数で切られてしまう可能性が非常に高いわけです。

そう考えると、質の高い研究はしているけど、業績数の少ない人はどうすることもできないわけです。

やれることは、日頃から自分の分野の研究者と交流して顔を覚えてもらうなど、研究以外にコネ作りを積極的に行うぐらいでしょうか?

では、具体的にはどんな人が公募に通って任期無しの職についているのか?
僕の身近で任期無しのポストに就いた3人の場合を例にあげます。
ただし、この3人は特殊な例だと思ってください。

@現ラボの前助手⇒地方国立大准教授へ

A前ラボの先輩ドクター⇒私大学振PD⇒独法ポスドク

B前ラボ先輩ドクター⇒同ラボ助手⇒同ラボ准教授

の3人です。@、Bは確実に任期無し、Aはおそらくパーマネントポスドクだと思いますが、定かではありません。

ただ、3人とも世間から見たら立派な業績、研究を行っているとは言えないと思います。

まず、@ですが、この人は僕が出会ってきた人の中では群を抜いて悪質な人でした。
@の業績は確かにたくさんあります。年間10報近く論文を書いていたと思います。
ただ、その論文の殆どが重投稿なのです。重投稿は同じ研究内容、同じデータで複数の雑誌に投稿することです。研究者としては決してしてはいけない業績の稼ぎ方です。

また、僕はその研究の手法を用いて研究を行わせていただいたり、そのデータ使って卒研指導などさせていただいたのですが・・・おいおい、理論がめちゃくちゃじゃねーか笑

その人が用いたデータ解析手法は現ラボの研究分野では理解できる人がほとんどいないため、誰も再現性などチェックしていません。

また、その人が作った解析用のプログラムはデータを入れ変えると全く別の結果が出たり、入力データの前処理の仕方で全く別の結果が出たりと、最低な代物でした。

また、卒業研究用のデータを使って、その人が投稿した論文のデータの追実験・解析を行ったのですが、全然再現できねー笑

教授に聞いてみたところ、「僕の正直あまり信用してないんだよ。だって@が解析しないとちゃんとした結果が出ないし、他の手法との比較データもないし。でも@はホントうまくやったよね。」だそうです。。。

おいおい・・・・。

例えば、@の研究は解析に用いた手法を専門に研究している分野の論文に投稿したら確実にリジェクトされたと思います。なじみのない現ラボの分野に応用し、誰もチェックできないことをいいことに重投稿で論文を量産したわけです。しかも、論文のほとんどはプロシーディングス(国際学会の特別号。査読も甘くアクセプトされやすい)です。

@から学べることは、汚い手を使ってでも論文を量産すればその業績数だけで数打ちゃ当たるで通ることもあると言うことです。

続いてAですが、この人はドクター時代の業績数を買われて私大の学振PDとなりました。
ただ学振PD時代に書いた論文数は一報です。

その後、独法の任期付きポスドクになりましたが、その経緯って一体何だったのでしょうね。
まあ、学生時代の論文数がモノを言ったのかもしれませんが、僕の想像ではPD時のラボの教授のお世話があったんじゃないかと思っています。相当この分野では力を持った教授でしたので、任期付きポストを世話するぐらいわけないと思います。だって、PD時に書いた論文が一報だけですよ。しかもそれほどインパクトファクターも高くない平凡誌です。

そして現在、別の独法の研究員となって科研費をとっていますが、ポスドク時に書いた論文はたったの一報です。独法のポスドクの上司の方が推進しているプロジェクトの一員として働いているので、業績数が少ないことを考えると、その科研費もただの政治力でしかありません。

論文も全く書かず、ただのうのうと言われた作業だけをやっているだけのポスドクです。
おそらく年収は800万近くもらっていると思います。我々の血税です。

そして最後はB。
この人はドクター取得後、すぐに同じラボの助手になりましたが、その時点で論文数は3報。まあ普通です。
助手になれたのは前ラボの教授(僕の指導教官)が引っ張り上げたのが理由です。もちろん公募ではBよりはるかに優秀で業績数のある業界でも有名な研究者が名を連ねていました。今では皆さんポスドクや任期付きポストを渡り歩いて任期無しのポストに就いていらっしゃいますが、Bのように運のいい人も普通にたくさんいることでしょう。

その後、そのまま准教授になりましたが、論文数はファーストで10報も書いていません。
もちろん、どれもインパクトファクターの高い雑誌ではなく平凡誌です。

完全に運と地方国立大のぬるま湯体制が生み出した研究者と言えるでしょう。

そして、こんな研究者なのに科研費も当たっており、当たって2年目なのに論文は一報も書いていません。
科研費が当たった理由はそのラボの教授(僕が在籍中は助教授だった)の力だと思います。
その先生は科研費はバンバン通っていたので同じラボということで評価されただけにすぎないと思います。

いかがでしょうか?
いずれも任期無しのポストをゲットした僕の身近な方々ですが、研究者として決して有能なわけでもなければ業績数も多いわけでもありません。

もちろん僕も含めて。

これから言えることは、自分より優秀で業績数のある人がたくさんいても、公募に通る理由はタイミングとか運とかコネの要素も非常に大きいということです。

そう考えると、任期無しポストは無理でも任期付きの職だったら数打ちゃ当たるで応募すればどこかに引っかかるんじゃないでしょうか?

と話しがまたまた脱線してしまいました笑

とまあ、こんな感じで、一生懸命頑張って業績を稼ごうが、レベルの高い研究を行おうと努力しようが、必ず報われるわけではないし、かといって@のように手段を選ばず汚い手で業績を稼ぐ気持ちにもなれませんでした。

残すは民間への転職でしたが、やはり今の研究に関連した分野で働きたいという希望は譲れませんでした。

今まで好きなことを仕事にしてきたわけだし、だから色々あっても頑張ってこられた。
それが全く興味もなければ関連もしないような分野に進んで、研究は趣味で行う、なんてことはできませんでした。

そこで、自分の研究分野で学会発表をしている企業を国内の学会発表の要旨からピックアップし、直接電話で採用担当に電話して中途採用が無いかどうか確認してみました。

でも、どれも大手の企業だったし、その部門での中途採用は行っていないとの回答ばかりでした。

仕方がないので、今までの研究で身につけたスキルが活かせる別分野の企業で中途採用を随時行っているところに応募してみました。

すると、「ご専門の研究分野と業務内容がマッチしていない」と書類選考も通ることができませんでした。

僕はコネに頼るのはもう嫌でした。
別記事で書ければと思っていますが、僕を雇ってくれた現ラボの教授は全く研究もしなければ論文も書かないし、学生卒研指導ですらまともにやらないような人で、助手を募集したのは雑用をさせるためでした。

そんな研究者として無能な教授でも、コネで雇ってもらった手前、毅然とした態度で接することができず、随分と理不尽な態度をとられたものです。

もちろん研究には興味が無いので、僕の研究なんてはなから理解する気はありません。
彼にとってみれば僕の研究テーマは卒研テーマのネタでしかないのです。
(前助手が出て行きたくなった理由も分かります笑)

コネで採用されると言うのは、それだけで信頼を失っているのです。
もし僕がコネで民間に就職したら、「こいつはコネ入社だ」とウケもよくなく、結局入社後の人間関係に悪影響を与えると思いました。

なので、何が何でも自力で探すと、もう誰にも甘えないと決意しました。

結局、ネットでたまたまとある企業の社外用報告書のようなpdfファイルを見つけ、その報告内容を見ると自分の研究分野に近いことがわかりました。

早速その企業のHPをみると、業務内容や社外セミナーなどの詳細が載っていて、ここなら自分の研究分野と良くマッチしている、行けるかもしれない、と思いすぐに採用担当に電話しました。

「中途でも雇ってもらえるかどうか?自分は大学の助教なのだがそれでも転職が大丈夫かどうか?学会やセミナーなどで今まで全く接点がないのだがそれでも大丈夫か?」

と、ど緊張して声も震えていたと思います。しどろもどろになりながら質問したと思います。

すると、「とりあえず、履歴書、職務経歴書、それと業績書があれば送ってください」と言われました。

僕はすぐにその企業の業務内容をHPとネットでできる限り調べ、それに合わせた志望動機等を作成し書類を2日ぐらいかけてじっくりと作成しました。

不思議と作成しているのが楽しくて仕方がありませんでした。

志望動機は簡潔に、かつ自分の熱意が伝わるように書きました。
ただ、自己アピールややりたいことを書くよりも、企業の業務内容の考え方、取り組み方などにたいして、非常に共感したこと、そして自分が仕事を通じて得て来た研究や教育への理念などを動機蘭に書きました。アレコレができるとかやりたいとかではなくて、自分の熱意を伝えようと努力しました。

職務経歴書もただ経歴を書くだけではなくて、今の仕事を通じて学べたことなども書き、決してアカデミックの世界を諦めて適当に就職しようと考えているわけではなくて、あくまでも職場が変わるだけで、自分が研究への熱意を失ったわけではないことが伝わるように工夫しました。

結果、応募書類が届くとすぐに面接の連絡があり、すぐに採用が決定した次第です。(詳しくは自己紹介参照)

ある意味、僕も@〜Bの人達のように、業績数とか研究の質とかそういう部分で評価されたわけではないのかもしれません。

業績数があり、質の高い研究を行っている人から見たら、「何だよ、結局運かよ」と言われるようなタイプなのかもしれません。

ただ、それでも伝えたいのは、コネとか業績数とかインパクトファクターとか出来レースとか、そういう評価が曖昧なアカデミックポストの公募よりは、企業のほうがフェアに評価してくれたような気がします。

転職を考えているポスドクや任期付き助教に方々は企業の面接に対して不安もあると思います。

僕も、もしかしたら面接で、なんでアカデミックポストを諦めたんだ、とか、業績が少ないけど何やってたんだ、とか、適当に就職したいだけなんじゃないの?とか、そういうことを言われるんじゃないか、と不安でした。

でも、僕のように大した業績で無くてもしっかりと話しを聞いてくれる企業はちゃんとあるはずです。

企業だって人材が必要だから採用を募集しているのです。
アカデミックポストのように、空きができたから募集する、と言うのとはわけが違います。

むしろ、企業の募集の方がアカデミックポストよりもあなたを必要としてくれるかもしれませんよ。




posted by ノルマン at 14:31| Comment(0) | ポスドク・任期付き助教の転職 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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