2013年04月28日

任期付き助教の転職〜アカデミックの世界で生き抜くには

アカデミックの世界を諦めて民間企業に転職した身ですが、失敗したからこそ見えてくることもあるので、アカデミックの世界で生き抜くために、どうしたらいいのか考えてみました。

まず、ここでは「論文をたくさん書く」とか「業績をたくさん残す」とか「レベルの高い研究をする」とか、当たり前のことにはあまり触れません。

というか、世の中、「論文をたくさん書く」とか「業績をたくさん残す」とか「レベルの高い研究をする」とかの条件を満たしていても、ポスドクや助教などの任期付きポストを転々としている人がたくさんいるし、これらの条件を全く満たしていないにもかかわらず、パーマネント職についている人もいるからです。

つまり、パーマネント職に就くための基準が曖昧なのです。

将来の不安を抱えながら必死で研究して業績を伸ばしても、決して安心感を得ることはできません。

例えばこの記事で書いたように、僕のいた研究室の前助手は地方国立大の准教授になったのですが、研究分野の人が内容を分からないことをいいことに間違った理論で論文を重投稿して量産して業績を増やしていました。

その准教授は、今ではその研究をやめて、また分野の人が理解できないことをいいことに、他人の考えた解析手法を使って研究を行っています(つまりオリジナリティはゼロ)。

まず、その人から学ぶことを一つ。

@自分の専門分野を、その知識が乏しい他分野に応用して論文を量産して、その分野のパーマネントを得る

です。

例えば僕の場合は物理シミュレーションが専門だったのですが、それをその知識が全くない他の実験分野に応用して、それなりに見栄えのいい結果を出して論文をたくさん書けば、スゴく重宝されると言うわけです。

しかも、シミュレーションは初期条件や解釈の仕方によっては色々な結果を導き出せるので、実験家に対して都合のいい結果を提供することができます。

実際、その准教授は、知識のある人から見たら滅茶苦茶な手法と結論で論文を量産していましたが、かなりウケが良かったです。

汚いやり方ですが、一つの方法であることは確かです。

しかも、パーマネントの職を得てしまえば、自分の専門分野に復帰しても良いわけです。

ただ、僕はやはりそういう汚いやり方はどうしてもできません。
特に、その准教授のように間違った理論で論文を重投稿するなど、研究者としてやってはいけないことだし、研究者たるもの、自分の研究を分からない人にも分かりやすく伝えて利用してもらう義務があると思うからです。

その准教授は間違った方法論を説明する時、かなり曖昧に濁していました。

うちの教授は生涯ファースト論文数が10未満というゴミ研究者で、大学助手をやめて民間企業に転職するもクビになって転々とし、最終的にはコネで大学に入り込んだ、劣悪教授です。

そんな教授にすら、その准教授は研究を小馬鹿にされていました。

つまり、どんなに研究の質が低くても、やり方によってはパーマネントの職を得ることができるのです。

ただ、この方法はポスドクな方は実行できないと思います。
助教で且つ、ボスの教授が無能でなければできません。

ただ私立大学の任期付き助教の場合、研究よりも、講義とか卒研指導のために募集されることが多いので、ボスの教授は割と無能な場合が多いです。

その場合、結構自由に研究させてもらえるので、その場合のみ使える手法と言えます。


でも、やはり上記のような方法ではなくて、ちゃんと研究者として信頼を失わない方法でアカデミックポストを得る方が、(傲慢ではなくて)自信を持って自分の研究をアピールできると思います。

それには、やはり「ちゃんとした研究者がいて研究活動をしている大学研究室、研究機関」に所属する以外ないのではないでしょうか?

ポスドクの場合は、そもそもしっかりした研究を行っている機関でないと雇うことすらしないと思うので、余り問題はないのかもしれませんが、中には教授が全く研究していなかったり論文を全く書いていなかったりする所もあるかもしれないので、注意が必要です。

問題は大学助教の場合です。

大学助教は、基本的に研究をするために雇われるのではなくて、大学の業務を行うために雇われます。
つまり、講義や卒研指導、そのた雑用です。

その場合、研究室の教授の能力は関係ないのです。

つまり、僕の場合のように、生涯ファースト論文数が僕よりも少なく、それこそコネで教授になり、かつ研究も教育も全くしていない教授も、助教は雇えるわけです。

しかも、そういう助教にも任期があるのが当たり前です。

この場合、はっきり言えば、消耗品として使われるだけです。

研究費用も、助教は自分で大学に申請できないことが多く、教授を介して申請するため、下手をすると研究に必要な物品も買えなかったり、学会参加の補助さえ出ない場合もあります。

もちろん科研費を取っていれば問題ありません。

大学助教になる場合、科研費が取れないと話しにならない場合があるので、十分注意してください。

でも、ちゃんとした研究室なら問題ないはずです。

現在、大学ポストは任期付きでも得ることは困難で、ほとんどの人が数打ちゃ当たれで申請していると思います。

ただ、そのやり方だと、所属した研究機関によってはマイナスに働き、自腹を切ってでもちゃんとした研究機関についた方がマシだったりすることもあります。

後は、やはり学生の時から研究室選びに慎重になることぐらいでしょうか?

とにかく実力以外の部分に作用される世界なのが、アカデミックの世界です。

僕が思うに、ポスドクや任期付き助教等のポスト、非常勤の講師などの中には、環境さえしっかりしていれば、十分にその能力を発揮できる人がたくさんいると思います。

その環境を自分の力で作ることが、アカデミックの世界で生き残るための方法なのではないかと思います。

ポスドクだったら、所属機関や機関長を慎重に選ぶこと。

大学助教だったら、科研費の確保や、やはり研究室選びに慎重になること。

それさえしっかりできていれば、安心して自分の道を進んで大丈夫だと思います。

それでも、前出の准教授のように、汚いやり方を使ってくる人がいる世界なので、やはり厳しいですね。。。


posted by ノルマン at 15:22| Comment(2) | ポスドク・オーバードクター問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
このブログをたまたま見つけ、とても共感をもって拝見しています。
主人37歳、某国立大助教(任期無し)ですが、任期無しといってもあるようなもので、現在就活中。
12か所目で、初めて面接にこぎつけました。
どうなるかわかりませんが、就活はまだ始まったばかり。長い闘いになりそうです。
Posted by makorin at 2013年09月02日 15:24
私も共感して読みました。
私は文系で、社会人経験を経て、海外でPhDをやり、アカデミックの世界に来た者です。
学位取得後、期限付き研究員・教員(一応、常勤ポスト)を3機関で務め、ようやく50歳過ぎてパーマネントの教授のポストに辿り着きました。日本の大学の師弟関係と無縁だったので、得した分と損した分と両方あります。博士号も(場合によっては修士号も)ない人が教授のポストにかなり就いており、日本の大学はやっぱりおかしいと思いますね。
それでも、私のケースは傍からは幸運な部類だ、と言われています。
日本の文系学者は一般に英語論文に弱いので、国際ジャーナルの査読付き論文を量産し、他者との差別化を図りました。努力し続ければ、それなりに道は開けるものだと思いますよ。
Posted by 日本の大学改革委員会 at 2014年07月31日 16:52
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