2013年04月28日

任期付き助教の転職〜任期助教の転職後

2013年2月に地方私大の任期付き助教から民間の研究職に転職し、2ヶ月がたちました。

結果から言いますと、本当に充実しています。
充実している理由はいくつかありますが、以下の理由があります。

@会社や社会に貢献できている実感が持てる

A人間関係が広がった。

B社員同士の仕事のフォローやサポート体制がしっかりしている

C上司や同僚とのコミュニケーションがしっかりしている

などです。

まあ、上記は人間社会で生きていれば当然と言えば当然の環境だと思います。

でも、アカデミックの世界では、この当然の環境が全く機能していないことが多いのです。
アカデミックの世界で生きている人なら分かっていただけるのではないでしょうか?

まず、「@会社や社会に貢献できている実感が持てる」ですが、民間企業なので自分のしている仕事が直接会社の運営や社会に直結しています。

自分で開発した技術はそのまま会社の技術として利用されます。

顧客から受注した依頼を解析すれば、当然その分のお金をいただき収益を得るわけです。

また、うちの会社の場合は、仕事さえしっかり行っていれば個人で技術開発を行って貢献することもできます。

大学等のアカデミックの世界では、どんなに研究しようが論文を書こうが、誰も得をしません。
科研費が当たっても、それは自分の収入でもなければ大学の収入にもなりません。
もちろん、科研費が当たっても、基本的に給料は上がりません。

「自分の研究成果や論文が、具体的に技術開発に利用されたり製品化されたりするかもしれない」と言う人もいるかもしれません。

でも、それは「かもしれない」止まりです。実感することはほとんどないです。

あと、ぶっちゃけ大学の研究も既に行われている研究の真似だったりすることがほとんどです。
文献調査して、「あっ、この文献の方法は、あまり利用されてないけど面白そうだ。これ使って研究すれば面白い論文が書けるかも」って研究者がほとんどです。

一方、民間企業は独自に技術を開発した場合、その技術や方法論が正しいのかどうか実証しなければなりません。もちろん論文化して世に認められなければなりません。

なので、やはり民間企業でも、既に論文化されていて方法論が確立されている方法を技術化した方が検証をしなくていいので、その分、早く商品化できるわけです。

これって、大学の研究と変わらなくないですか?

それ以外に、独自の技術開発も行わせてもらえるわけですから、自分にとっては大学よりも、今の方が研究のし甲斐を感じています。

次に「A人間関係が広がった」です。

企業なので、毎日他の社員さんと顔を合わせるし、会議も定期的にあるので、意見交換も盛んです。

うちの課では、よくみんなでランチに出かけます。
別に仕事の打ち合わせとかではなく、強制でもありません。

その時、雑談したり、仕事の話しをしたりするのですが、実はこのランチの時間が非常に重要でした。
転職して間もない頃は、会社のことはまだよく分かっていないし、業務中に色々質問したりも難しかったりすることもありますが、ランチの時に気軽に上司や同僚に質問することができるからです。

もちろん、会社の状況とかもみんなの会話から把握することが出るし、人間関係を深める役割もあります。

一方で大学では、ほとんどの時間を一人で過ごします。

もちろん研究室によっては、スタッフや学生みんなで学食に行ったりすることもあるかもしれませんが、僕の場合は学生と食事をすることはよくありましたが、他の助教さんや教授と一緒に食事をすることはありませんでした。

大学だと、他の教員とはほとんど絡まないのが普通なんじゃないでしょうか?

お互い研究分野が違うし、なによりポスドクや任期付き助教とかだと肩身の狭い思いをしている人が多いので、あまり他の教員と関わりたくないと言う気持ちになりがちです。

僕の場合は教授が変わった人だったので尚更でした。

任期付き助教を7年していましたが、結局今でも付き合いがあるような先生は一人もいません。
むしろ卒業した学生からたまに飲みに誘われたり、年賀状が来たりします。

次に、「B社員同士の仕事のフォローやサポート体制がしっかりしている」と「C上司や同僚とのコミュニケーションがしっかりしている」です。

「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」がちゃんと機能していて、上司や同僚と業務に関するディスカッションを気軽に行えます。強制ではありません。自分が何か行き詰っていたり疑問に感じたことを相談できます。

これは民間企業なら当然です。社員の行ってる仕事がうまくいかなくなったら、それはそのまま会社の収益につながってしまうし、その先にはお客さんがいて、仕様書や納期もあります。しっかり社員同士フォローし合わないと仕事が失敗して損失が出てしまいます。

一方で、大学では基本的に研究が失敗しても誰も損はしません。お金の損失もありません。
科研費も大学の研究費も、研究が成功しようが失敗しようが支払われるし、給料も下がったり上がったりすることもありません。

大学では研究が失敗しても「自己責任」とか「お前がそもそも無能だから」とか「それだけ厳しい世界だから」の一言で片づけられてしまいます。

もちろん、誰も相談に乗ってくれません。

助教やポスドクの時点で「一人前の研究者」なので、相談なんて必要ないわけです。
教授が有能で、ポスドクや助教と研究のディスカッションを行ってくれる研究室なら別ですが、そうでない研究室の方が多いのではないでしょうか?

また学会発表等を行った所で、そんなのは年に1、2回だし、深い議論も行われないし、そもそも学会発表は成果を発表する場(つまり業績)で、誰かに相談したりする場ではありません。

そういった意味でも、企業では安心して仕事を行うことができます。


こんなわけで、アカデミックの世界から民間に転職したからと言って、すぐに即戦力として何から何まで自分一人でしなければならないかと言うと、そういうわけでもありませんでした。

もちろん、経験を問われるので基本的なところは分かっているものとして業務を与えられます。
でも、その辺は博士号をとった研究者なら誰でも当たり前に対処できる能力はあるわけで、問題ないはずです。

現在アカデミックから転職を考えている人で、アカデミックの世界に息苦しさを感じていたら、是非、民間への転職も視野に入れてほしいです。

もちろん、民間会社は倒産とかリストラとかの不安があるかもしれません。

でも、アカデミックの職の多くが任期付きなわけだし、どんなに頑張って研究しても次の職が得られる保証もないわけです。

それと、現実問題として「アカデミック職は社会経験が無い」とみなされている現実があります。
その業界では有能で有名人、みたいな研究者なら問題ないでしょうけど、そういう人はそもそも民間企業に転職なんてしません。せいぜい退官してから顧問とか技師として企業に貢献するぐらいです。

僕は35歳で転職を考えました。おそらくギリギリの年齢だと思います。

でも、僕の職場には40過ぎてからアカデミックから転職したという人もいます。課長以上の人とかはほとんど中途です。

こんなわけで、かなり充実した社会人ライフを行っている今日この頃でした笑


posted by ノルマン at 13:16| Comment(2) | 転職後 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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